Windowsストア版Kritaの配信が開始されました
少し前、KritaやInkscapeのようなプロジェクトと接触していたMicrosoftのチームから連絡が来ました。MicrosoftチームはこのプロジェクトをWindowsストアで配信する手助けをしたいと申し出ており、UWPアプリへの最初の変換を行い、配信開始の手助けをしてくれました。
我々はMicrosoftチームからの要請に応じることにしました。既にかなり前からKritaをWindowsストアで配信したいという意図は持っており、あくまでそれに割く時間が今までなかったという状態だったのです。
KritaをWindowsストアで公開することにより、今までのユーザー層とは全く異なる人たちにKritaを提供することが出来ます。さらに…
資金
さらに我々はSteam版と同じことをしたいと考え、WindowsストアのKritaを有料配信することにしました。Kritaをストアで配信する作業には時間がかかりますし、Kritaプロジェクトは現在も開発資金を必要としています(※ですが、KritaをWindowsストアで購入するということは払ったお金の一部がMicrosoftに行くということを意味しています。つまり直接の寄付の方が効率的です。)
対価として、KritaをWindowsストアから購入すれば、自動でのアップデートがされるようになり、またKritaを皆さんの全Windowsシステムに簡単にインストールできるようになります。また他のWindowsアプリと同様にサンドボックス内でKritaを動かせるようになります。
つまり、基本的には利便性とこのプロジェクトの存続への手助けにお金を払う、ということになります。
そしてKritaをWindowsストアで公開したのはもう一つ理由があります。このプロジェクトに関係していない誰か他の人がKritaをWindowsストアで勝手に配信してしまう事態を防ぐためです。
自由ソフトウェアとして
KritaはGNU Public Licenseのもと開発されている自由ソフトウェアです。KritaをWindowsストアで公開することでそれが変わることは一切ありません。Kritaのストアページにはソースコードへのリンクが貼られ(ただし見にくくはあります。ストアのレイアウトについてはどうしようもなかったのです)そしてソースコード内にはKritaのビルド方法の解説が含まれています。もし自分でビルドしたKritaをAppxバンドルに変換したい場合も十分簡単にできるはずです。
自分でビルドしたKritaに直接Desktop App Converterを使うこともできますし、また公式で配布しているKritaに使って変換することもできます。
WindowsストアからダウンロードできるKritaと公式サイトでダウンロードできるKritaに機能面での差は一切ありません。バイナリは全く一緒で、パッケージ方法が違うだけということです。
Steam版について
我々はまだなおSteamでKritaの配信を続けています。これからも続けるつもりであり、現在はトレーニング動画をSteamで公開するための作業を行っています。Krita Geminiのライフタイムパッケージを購入した人にはトレーニング動画全てがアップロードと同時に無料で手に入れられます。
また現在Krita 3をこれとは別個のプロジェクトとしてSteamで配信する作業も行っています。有料配信で価格はWindowsストア版と同一です―そして有料版としての対価も同様で、アップデートの自動化と全システムへのインストール、加えてKrita開発への資金援助という形です。
加えて、Krita Geminiを新バージョンに更新するための資金調達が行える可能性が出てきています。Geminiで使っていたアプローチがQt5とQt Quick2では使えなくなってしまったため、その場合Geminiは今までとはちょっと違ったものになるでしょう。これを使い物になるようにするため既に数十万ユーロが費やされています。
Steam版Kritaの開発が低速であることは認めざるを得ません。アプリストアとしてのSteamはあまり楽な環境ではなく(一番楽なのはUbuntuのSnapでしょう)そして動画のアップロードにはかなり時間がかかるのです。