アーティストインタビュー―伊藤霊一
伊藤霊一/Ryouさんは(以下Ryou)Kikiのフィギュアを制作した素晴らしい日本人アーティストです。Kikiのデザインを行ったTyson Tanに改めて感謝申し上げます。今回は彼Ryouにインタビューを行いました!
まずはRyouさんの自己紹介をお願いします。
プロモデラー・フィギュア原型師をやっています。日本人です。模型雑誌『月刊モデルグラフィックス』で、コーナー連載や作例製作もやっています。
いつごろからフィギュアを作り始めましたか?
プラモデル製作は子供の頃からの趣味で、主にガンダムなどのアニメロボットプラモデルが好きですね。仕事としての原型製作は30歳ごろから。それ以前は漫画家をやっていたんですが、仕事に行き詰まり、糊口をしのぐために転職しました。でも絵や漫画を描くのは今でも好きです。
フィギュアの造形はどうデザインしますか?
漫画を描いていたので、キャラクターデザインを考えるのは好きです。作りたいフィギュアのイメージを固め、服装の資料を集めて、デッサンを繰り返して煮詰めていく…という、ごく一般的な方法だと思います。
普通の人間キャラやロボットも好きなんですが、特に好きなのは獣人系キャラ。僕はいわゆるケモナーですw。このジャンルは割とニッチで、特にフィギュアはあまり存在しないので、自分の技量でも活路があるかもしれないと思い、挑戦し続けています。
原型はどんな方法で作るのですか? 原型から製品までどんな手順がありますか?
原型製作にはいろいろな方法がありますが、僕はエポキシパテ派です。芯材にエポキシパテを盛り付けて削り出し、デザイン画のイメージに近づけていくという、昔ながらのアナログ工法です。ですがデジタルにも挑戦したいと思い、今ZBrushCoreを勉強中です。頭部くらいなら作れるようになりました♪
製品はレジンキャスト製の組み立てキットで、いわゆるガレージキットと呼ばれるものです。原型をシリコーンゴムで型取りし、レジンキャストを流し込んで複製を作ります。自分の手で自家生産することも可能ですが、あまりにも手間と時間がかかりすぎるので、最近は成形業者に発注する事が多くなりました。お金はかかりますが、綺麗な製品を大量に作ってくれるので、大変助かります。
どんな経由でKritaのことを知りましたか?
以前からpixivなどでデザイナーのTyson Tanさんの絵を知っていて、大ファンでした。その中にKiKiの絵があったので、これは何のキャラなのかを調べるうちに、Kritaにたどり着きました。残念ながら、まだKritaを使った事がないので、今度試してみようと思います。
どうしてKikiのフィギュアを作ることに決めましたか?
Ryou: 自分のデザイン能力に限界を感じていたため、最近では何人かのデザイナーさんに声をかけて、その人が描いたキャラクターを立体化させてもらっています。Tysonさんのキャラクターは、生物的な艶かしさと、未来的なメカニカル感の融合バランスが素晴らしく、自分には絶対にできないデザインだったので、Twitterで連絡させていただきました。最初はTysonさんのキャラクターのどれかを作るという曖昧な提案だったんですが、二人で相談するうちにKiKiに決定しました。もっとグラマラスなキャラでも良かったかなw?
Tyson: 正式製作の前、私達はどのキャラクターを作るのに数回渡り相談をしました。確かに「売れる」キャラならいくつ持ってるし、新規デザインも数枚提出しましたが、やはり今回は「誰かのオリキャラ」よりも特別なものを作りたいと思っていました。Kikiはフリー・オープンソースの絵かきソフト「Krita」のマスコットなので、一層深い意味があると感じました。Ryouさんは「あまりエロくないし知る人が少ないケモロボ娘」という売れないかもしれないリスクをわかったのも動揺なく企画を完成しました。私は彼の決意を尊敬しています。
Kikiのフィギュアはどうやって入手できますか?
http://bmwweb3.nobody.jp/mail2.html
現在のところ、私のホームページのみで通信販売を受け付けています。
他に何か皆さんに伝えておきたいことはありますか?
これからもデザイナーさんとコラボして、ケモノ系フィギュアを製作していく予定です。コラボは基本的にこちらから声かけさせていただいていますが、逆にデザイナーさんやそれ以外の方からの『このキャラクターのフィギュアを作って欲しい』という注文も仕事として受け付けています。興味のある方は一度ご相談ください。
このKiKiを通じて、新たな人との繋がりができることに期待しています。
伊藤霊一のHP、B.M.Wのアドレス: http://bmwweb3.nobody.jp/