ふう、なんて年だったんだ!
ここでは2016年に起こった他のことに対して意見を述べるつもりはありませんが、Kritaに関して言えば、2016年はこのプロジェクトにとって一番熾烈な年でした。少し立ち止まって振り返ってみましょう!
Kritaの成長は飛躍的です。これまでになくユーザも貢献者も増えていて、時には重荷を感じます!
一つちょっとした例を紹介します。KritaはKDEコミュニティの一員です。KDEコミュニティはまたLinuxでも最も人気のあるデスクトップ環境の一つを開発しており、他にも多くのアプリケーションがその傘下に入っています。今年、デスクトップ環境に対しては全体で2290個のバグがユーザにより報告され、Kritaに対しては1134個が報告されました。報告されたバグの数で言えば次に大きいプロジェクトは動画編集ソフトのKdenlive (701個の新規バグ)とウィンドウマネージャのkwin (674個)です。私達は1134個のバグを解決し、そのうち私自身は1052個をクローズしました。バグ報告が多いことは悪いソフトウェアということとは一致しません。それが意味するのは、とても活発に使用されているソフトウェアだ、ということです!つまり、KDEコミュニティにおいて、Kritaは2番めに大きいプロジェクトといっても差し支えないでしょう…
Kritaは活発に使用されているだけではなく、非常に活発に開発されています。 大体平均で一日に10個のコミットがあります。これは翻訳を除いた数です。この一年では、約50人がコードに貢献しました。フリーソフトウェアプロジェクトでは最高クラスの詳細なマニュアルがあり、irc、フォーラム、redditでの質問のほとんどにマニュアルの関連ページへのリンクで答えることができるようになりました。マニュアルの翻訳も現在進行しています!
プロジェクトとしては、かつてKritaがLinux上で別のアプリケーションXの代替フリーソフトであった時代から、遠く進んできました。アーティストは好きなプラットホームで、_使いたい_からKritaを選んでいます。これは素晴らしいことなのですが、ただ…時には根拠のない期待を持ち込む人もいます。アメリカから、プロのスタッフが配置されたヘルプデスク部門があることを期待してかけてきた電話を私は受け取ったこともあります。一般的に、多くの人は、Kritaの背後には大企業が、莫大な資産のある会社があると考えているようです。それは真実とは正反対です。 Krita財団が寄付やトレーニングDVDから得ている資金は、2人のフルタイム開発者を雇うのにも不十分なのです。
そのため、今年、私は週3日、オランダのQuby社のフリーランスの仕事をしていました。そして週3-4日はKritaです。この仕事量は多すぎて、6月に私は消耗状態に陥り、今でもまだ完全には回復していません。このため、今年は予定よりリリース数が少なくなりました。6週間に一度のペースでリリースを出したいと思っていたのですが、今年は4個のリリースだけになっています:
最初のリリースはとても成功した2.9シリーズの最終リリースでした。2.9.11はQt4ベースのKritaの最終バージョンであり、またCalligraプロジェクトの一部としての最後のリリースでもありました。3.0からQt5に移行し、独立したgitリポジトリに移行し、Linuxでのより簡単な配布方法としてappimageを使用し、アニメーション制作やインスタントプレビューなど多くの機能が追加されました。3.1では、正式にOSX(macOS)もサポートしました!
それでも、私達はほぼボランティアで構成された小さなチームです。楽しんではいますが、時にはユーザのリクエスト、サポート要請、コーディング、ドキュメント作成、コミュニティ管理、バグのトリアージだけで手一杯になってしまいます。Kickstarterに再び成功しましたが、その投資報酬はまだ製作中です。アートブックも製作中です…素晴らしいものになりそうです。予約を受付中です!
とはいえ、すべては1月には発送準備ができるはずです。それはもう来年の話です!2017年はKritaに何をもたらすのでしょうか?それについてはこれからについての記事を既に書きました。SVGサポート、ベクターツールの改善、テキストツールの改善、Pythonスクリプティングの追加の予定については皆さん知っていることかと思います。それだけではなく、Dmitryはさらに先週アニメーションでの音声データ読み込み機能を追加しました。次のリリース、1月末予定の3.1.2で利用できるようになります。定期的なバグ修正リリースをもちろん行う予定で、2015年の残りと2016年のKickstarterゴールとその他コーディングされた機能を含む大きな機能追加リリースも最低1つは行う予定です。コードだけではありません。2017年にはもう一つ本をリリースしたいと思っています。Pepper and Carrot の本です!
また2017年にはまた資金集めの活動を行います。フォーラムでの議論がありましたが、今回は新機能を提案するのではなく、集約、安定、洗練を目指す時だと感じています。長年多くの機能を追加してきました。上記のように多くのバグも修正してきましたが、Kritaをより安定してしっかりしたものにするため吟味と投資を行う時期なのではないかと考えています。この路線についても、来年また支援していただけるとありがたいです!
敬具
Boudewijn Rempt
プロジェクトメンテナ