Krita 3.0.1:新機能とバグ修正
Krita 3.0.1はKrita 3.0リリース後の最初のバージョンとなります。我々は新たに新機能追加期間とバグ修正期間を設定した一定のスケジュールを決め、6週間ごとにリリースを行うようにしました。このリリースにはKickstarterの支援による機能のみならず、今年2016年度のGoogle Summer of Codeプロジェクトの最初の成果が含まれているほか、新たな貢献者であるEugene Ingerman、Nishant Rodrigues、Miroslav Talasek、Laurent Jospinによる開発成果、及びDmitryの指導の下開発に参加してくれた学生であるGrigory Tantsev、Alexey Kapustinによる開発成果も含まれています。
https://www.youtube.com/watch?v=9S_x6koOVBo
ポップアップパレットにブラシ設定へのアクセスを追加
ブラシエディタを開くことなくブラシ設定をいじることができるようになりました。それぞれのブラシエンジンにはそれぞれ独自の設定があります。右下の小さな矢印アイコンをクリックしてブラシ設定の表示非表示を切り替えられます。さらにどのプロパティを表示するかも設定できます。詳しくはドキュメントを読んでください。
ソフトプルーフ
自分の作品がCMYKに変換されるとどう見えるのかをプレビューすることができます。さらに「色域外」表示でどの色データが失われることになるのかも見ることができます。これはWoltheraのGoogle Summer of Code 2016の最初の成果となるものです!詳しくはドキュメントを見てください。
対称描画ツールの改良
対称描画ツールに新しいオプションが追加されました。対称軸の位置を間違えて動かしてしまわないようロックできるようになりました。また描画中に間違えて動かしてしまった場合、対称軸を中央に戻すことができるようになっています。ドキュメントをご覧ください。
二値化及びウェーブレット分解(ウェーブレットノイズ低減)フィルタの追加
二値化フィルタ及びウェーブレット分解フィルタプラグインが追加されました。ウェーブレット分解フィルタプラグインはMiroslav Talasekによる開発です。(日本語翻訳チームより:誤ってWavelet Decomposeの訳がWavelet Noise Reducerの訳であるウェーブレットノイズ低減になってしまっています。次バージョン3.0.2では修正がなされます)
変形ツールへの回転・反転ボタンの追加
自由変形ツールでレイヤーもしくは選択範囲を簡単に回転もしくは反転できるようになりました。これからは-100%と入力する必要はなくなります。反転は上下及び左右の反転ボタンが用意され、回転は時計回り及び反時計回りのボタンが用意されています。
ドッキングパネルの改良
ヒストグラムをレイヤーのメニューから新たに追加されたヒストグラムドッキングパネルに移動させました。これによりヒストグラムを常に表示させておくことが可能になります。キャンバスプレビュードッキングパネルの表示品質が大きく改良され、より見やすくなりました。チャンネルドッキングパネルにはサムネイルが表示されるようになります。これはEugene Ingermanの開発による成果です。ありがとうございます!
その他新機能・改良点
- 入力欄で簡単な計算式を使うことが可能になりました!単位変換機能もこれから追加予定です!この機能はLaurent Jospinによって開発されました
- 描線ごとのファジーセンサーである「ファジーストローク」が追加されました。これは完全に一様となると困る草ブラシなどにベストの機能です
- ブラシエディタに「縦横比」プロパティを追加しました。これはブラシの縦幅と横幅の比率をブラシプリセットに適用するものです。この機能はNishant Rodriguezによって開発されました
- グラデーションマップフィルタがフィルタレイヤーとして使えるようになりました
- グループレイヤーをその下位にある全レイヤーをフレームとするアニメーションレイヤーに変換する新たなオプションが追加されました
- 移動ツールを使っている際に座標を表示する機能を追加しました。ツールオプションから使用可能です。
- 税所一輝氏による日本式アニメーションテンプレートを追加しました
- Shiftキーで自由変形ツールをスナップできるようになりました
- 1ピクセルプリセットを改良しました
- 前後フレーム表示のデフォルト設定を使いやすいように改良しました
- スクリーンの中心ではなく、カーソルの位置で表示倍率を変更するため、相対倍率を使うようにしました
- PgUp/PgDownキーにグループレイヤーへのレイヤーの出し入れのショートカット機能を追加しました
- 前後フレームの表示時に無効にしてあるフレームのスライダーが灰色に表示されるようにしました
- Breezeカラーテーマ(KDE Plasma 5のテーマ)を追加しました
- レイヤーメニューとレイヤーコンテキストクリックメニューを再整理し、スペースを取らないようにしました
- 「単純なソースへ貼り付け」ダイアログへの冗長性を改良。これは「色プロファイルがありません」という名前に変わります。選択したものを記憶するオプションが追加されました。
- ステータスバーの表示非表示が設定として保存されるようになりました
- 拡張色選択ドッキングパネルに直前に使用した色が表示されるようにしました
- ペンタブの筆圧を切り替える操作を追加しました。この操作を表示するにはツールバーの設定が必要です
- OpenJPEGフォーマットのサポートを打ち切りました(※もちろん、JPEGのサポートに関してはこれからも何の問題もありません!誤解されがちですが、OpenJPEGとJPEGは全く別個のフォーマットです)
- ツールバーに筆圧感知のオンオフを切り替えるオプションボタンを表示できるようにしました(Grigory Tantsevovによるパッチです)
バグ修正
- Windowsで安定化手ブレ補正を使用して円を書いた際に変な角ができる問題を修正
- レイヤーでのドラッグ&ドロップで動作が遅くなる問題を修正
- フルスクリーン表示できなかった問題を修正
- 変形マスクをドラッグ&ドロップした際に発生するクラッシュを修正
- いくつかの会社のタブレットで描画を行おうとした際にクラッシュする問題を修正
- ファイルレイヤーを複製した際にクラッシュする問題を修正
- 保存時にファイル名に二つピリオドがついてしまう問題を修正
- マルチレイヤーEXRファイルを読み込んだ際にクラッシュする問題を修正
- レイヤーグループを保存した際にクラッシュする問題を修正
- メインウィンドウを閉じる前に「キャンバスのみ表示モード」をオフにするように修正。この状態でKritaを再起動させるとおかしな状態になる。
- 矢印キーで非表示レイヤーを動かす際にクラッシュする問題を修正
- Ctrl+左クリックを使用した際に複製ツールがクラッシュする問題を修正
- フレームを変更した時に前後フレームで発生する積算の問題を修正
- OSX:タッチパッドに関する問題を修正
- OSX:Wacom製のペンタブでキャンバスからペンタブペンを持ちあげた時にブラシがフリーズする問題を修正
- 線の開始時に不透明度が100%になる問題を修正
- アプリケーションの一部が適切な言語に切り替わらない問題を修正
- フィルタレイヤーを含むマクロを編集時にクラッシュする問題を修正
- 画像を閉じ、新しい画像を開くときに発生するメモリの問題を修正
- 3_textureブラシ形状をアルファを使うように修正
- プレビューが表示および非表示できるように補助線を修正
- 変形ツールを使用している際に移動はキャンバスの回転を計算に入れるようになりました
- テンプレートの保存を修正
- 大文字の拡張子の画像の読み込みを修正
- HSL/HSV補正フィルタでの色の表示の色相がおかしい問題を修正
- 選択の塗り拡げが働かなくなっていた問題を修正(Spencer Brownさんありがとうございます)
- NVida製GPUを使用時に補助線を使用した際の表示の問題(画面が真っ暗になる)を修正
- タグを変更しスクロールバーを非表示にした後のブラシプリセットのレイアウトを修正
- リソース選択で消去したリソースを選択しようとした時にクラッシュする問題を修正
- 二値化フィルタをマスクとしての使用と二値化フィルタの8ビットRGBA以外の色空間でのプレビューを修正
- Krita起動時のツールオプションの初期化を修正
- ハロー(外側)及びハロー(内側)レイヤースタイルの範囲を1から100に変更
- デフォルトのワークスペースをアップデート
- ピクセル保存時にレイヤーの外側が切り取られるように修正
- 最初のアニメーションフレームを読み込んだ際の正しくないオフセットを修正
- CSVフォーマットへのアニメーションのエクスポートを修正
- ブラシの合成アクションがツールバーの設定で名前を持つように修正
- PNGのプロファイル埋め込みオプションへのチェックをデフォルトで外すように修正
- colordがデバイスを提供しなかった際にシステムモニタのチェックを無効に修正
- 近傍法フィルタモードが正しく働くように修正
- 左右対称描画ツールでツールボタン等が表示されるように修正
- 線の開始時に筆圧100%になってしまう問題を修正
- 自動生成グラデーションを削除できないように修正:これらのグラデーションは特別なものです!
- ブラシプリセットタグがWindowsとOSXで読み込めなくなっていた問題を修正
ダウンロード
ダウンロードのページに行って新しいビルドを手に入れましょう。新しいバージョンをダウンロードしている間は、Achille氏がKritaのアニメーション機能を使って作った素晴らしい動画をご覧ください。
DisneyXDFC 90100 Full VideoClip : https://t.co/dLy8RvjLlO Tumblr : https://t.co/BmkY8lwwrZ#krita pic.twitter.com/2WEshuCNuu
— -Achille- (@_Achille_) 2016年6月27日
Windows
WindowsではKritaはWacom、Huion、Yiynovaのタブレット及びSurface Proシリーズのタブレットをサポートしています。ポータブルZIPファイル版は解凍してショートカットkritaをダブルクリックして起動してください。
Windows版KritaはWindows 7、Windows 8、Windows 10で動作が確認されています。32ビット版ビルドはベクトル化が無効になっているため、通常より動作が遅くなっている可能性があります。
デフォルトのテンプレートが表示されない既知の問題があります。これはパッチリリースで修正される予定です。
Linux
Linuxについてはあらゆる最近のLinuxディストリビューションで動作するはずのAppImage版を提供します。AppImageをダウンロードして、実行可能にして起動してください。インストールは必要ありません。現時点では64ビット版のみです。このappimageは実験的なデスクトップ統合を含んでいます。
また UbuntuのApp Storeからsnap formatでKritaを手に入れることもできます。このバージョンにはKrita自体への翻訳も含まれています。インストールは以下で行ってください
snap refresh --stable krita (if you've installed the beta) snap install krita (if not)
OSX及びMacOS
OSX版Kritaは3.1でフルサポートが実現される予定です。OSX版Krita 3.0にはまだ高速プレビューと高品質キャンバス表示が実装されていません。また画像のレンダリングの問題もあります―この問題はApple社が OpenGL互換性プロファイルのサポートを自社製品のディスプレイドライバとタッチパッドとタブレットのサポートの配布で打ち切ったことによるもので す。現在Krita開発はこれらの機能のOpenGL 3.0コアプロファイルを使用した再実装を行っています。今のところはOSX版Kritaを何らかの製作作業に使う際はOpenGLを無効にすることを 推奨します。OSX版Kritaは10.9、10.10、10.11で動作し、MacOSでも動くことが報告されています。
ソースコード
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